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11月から12月へ

西條です。
11月の週末に撮影、ということで、前に日誌を書いたくらいから忙しくなってしまい、
PCに向かってもメールやら調べものやらなんやらで、まあなんていうか、日誌を書くなら飯を食べようと頑張ってました。
久々の撮影、終了した後は、ホントに感謝の言葉だけでした。
ホントにみなさんありがとう。お疲れ様でした。もちょっと掛かりますが、一先ず。あとはブツ撮りとアフレコです。

ここに至るまで。
金曜日、中野光座でその役者さんが出演する演劇を見に行った。
某有名俳優も出演しているその演劇は、久々に見る本格派。
重厚で、シンプルなアクセントで舞台上にいろんなイメージを浮かばせてくれる演出と演技力。
いい芝居でした。
それとはまったく正反対にライトなコメディを狙う今回の僕は、
ドン・キホーテでライトな電動モノを探したり、衣装探したり、真夜中でも小道具探し。

ロケ場所は喫茶店フライングティーポット。
かっこいい喫茶店を丸いイメージにしなきゃいけない。だって店長は女性の設定なのさ。
丸いと言ってもいろいろ。どんな丸さだろう。僕はその昔お世話になっていたイベント、ブラックバーストで知り当たったアーティストの絵を思い出した。早速HPを拝見。作品を貸してください、とメール。
快諾。一気に作品がいいものになりそうだ。

画家、おおさわかずみさん。
久々に会い、なぜか「ブラ男」話で盛り上がる。
「ブラ男」それはブラジャーをつけた男。
変態、趣味というより精神安定的な効果を上げる作用があるらしく、
女性の気持ちを意識して近づくため、男性の攻撃性が和らぎ、抱擁感に似た安心を得られるらしい。
そらなら今回作る短編は、女子をテーマにするものなので、僕もつけなけらばならない。、と思ったが、つけられるか!そんなもん!
しかしハゲの進行を遅らせる作用があるならマジで考えてしまい兼ねないです。

撮影までの一週間を、かずみさんの展示にするということで、
二人で展示準備をしながら、役者と打ち合わせつつ、借りた制服を着てもらって「萌えるな~」と叫ぶ僕。飯田さんが写真を撮ってくれたり、マスターと最近起きた殺人事件の話をしたり。
ちゃくちゃくと進む感じがするけど、久々な撮影のため、結構自分が緊張していることもわかる。

小道具でイチゴが乗っていないケーキが出るため、
発注先のケーキ屋を、彼女とラーメンを食べ行くついでに探す。
入ったラーメン屋はここらの老舗。ギョーザが美味い店。もちろんギョーザセットを頼んだ二人。
しかし彼女のラーメンの中に虫が入っていたため、作り直してもらう。さらにギョーザが出てこない。
ラーメンを食べ終えてから、やっときたギョーザ。遅れてきても美味かったから、まあいいか、と水を飲んで店を出る。

二人でぷらぷらと歩くと、すっかりクリスマスな商店街。
電飾がチカチカとモミの木や靴下を作っている。
閉店間際のパン屋に入り、メニューを見ると、ケーキの注文承ります、の文字。
彼女「すみません、ケーキを作って欲しいんですけど」
店員「ウチではやってませんね」
ここでは作ってないと言うことなんだろうか?しかしメニューには、さもオリジナルなケーキを作ってるんだぜ、な文字と料金が書いてある。
西條「その、生ケーキと書いてあるのはなんですか?」
店員「さあ、なんでしょうねぇ」
とニコリ。
・・・なんだろうこの会話。
腑に落ちないままパン屋を出る。昔はやっていたけど今はもう作っていないということなのかしら。

腑に落ちないまま、もう一つのケーキ屋に向かう。が急激に腹が痛くなった。
さっきのラーメンがあたったのだろうか。はたまた水を飲みすぎたからか、腑に落ちなかったからか、
すぐさまドトールに駆け込んでトイレを貸してもらう。ドトール最高。
彼女曰く、トイレと言えば、ファミマらしい。ファミマのトイレには、「ご自由にお使いください」と書かれているようで、他のコンビニは、貸してもくれないところも多いのに、ファミマはこの殺伐とする世の中で素晴らしい偉業を成し得ている。とドトールのトイレで深く思う、秋。小窓の向こうでカサカサと風が赤い葉を揺らす。

もう一つ、入ったケーキ屋。
西條「すみません、ケーキを作ってもらいたいんですけども」
店員「7号くらいまでで、イチゴが乗っていないものなら、4400円で作れますよ」
というので、その場で頼もうと思った僕だったが、彼女はそれを聞き、私作ってみる!と言い出した。
僕は、経験を活かし、包括的に考え、ぜっっっったい辞めたほうがいいと言ったが、彼女は物は試しと腕を捲くった。それから100円ショップで喫茶店の看板制作用の小道具を買い、看板を作る、彼女。
見事な看板が出来上がり、僕も唸る。ナイスセンス。女子っぽい柔らかく小さな看板が出来上がった。

新宿の100円ショップで包丁を買おうとするが、
時勢により包丁が店頭に出ていない。カタログをみて、パン切り包丁を二本購入。
しかし二本ともメーカーが違う。なんだこれ?と店員に聞いてみるが、
店員「さぁ、でも両方ともパンが切れますよ」
しかしパンを切ることが目的ではない僕としては細かい違いが気になってしまう。が、その日はそれから役者と浅草雷門前で落ち合う約束だったので、急いでいたこともあり、購入。
仲見世で衣装に使えそうなものを物色し、帰宅。包丁を切れない包丁に変えるため、トンカチでカンカンと刃を打つ。

ビデオライトの予備玉をビックカメラで探る。
しかし昔のビデオライトのためか、見当たらない。店員に尋ねると、
店員も良くわからないらしく、二人であちこち探してやっと見つけた隅っこのガラスケース。
しかし今度はガラスケースの鍵が見つからないらしく、店員焦る。
やっと見つけて、ガラスケースの中にあるビデオライト用の電球の中から、300Wで232-8と書かれているものを見つけるのに更に一苦労。

ぁあ、飲みに行きてえ、と思いは募る。が

予備に持って行く用のバッテリーライトのチャージャーをホトヅカ君に借りに行き、
チャージをし始めるもさっぱりチャージが終わらない、一日掛かっても終わらないなあ、と思ったら、充電中と充電終了のランプを勘違いしていたようで、あまりにも早く充電が終わっていたようで。

カメラマンと照明マン、録音マン、そして主人公役ウーマンと打ち合わせ。
果てしなく打ち合わせて6時間ほど経過。しゃべりすぎて声が痛い。それから岡崎君とラーメン屋に入り、僕は人生初めて、つけ麺を食べる。その奥深さを理解出来はしなかったが、まあここからがスタートだ。

毎日連絡事項があり、携帯のメールもまったく違う人達から日に20件以上届く。
音楽の打ち合わせもしたいが、先方が予定ありで実はまだ顔も合わせていない。
でも絵コンテは自分用にバチッと書いた。やりたいことはほとんど伝えた。結構準備万端で、彼女のケーキも最高の出来栄えで到着。いよいよ撮影である。

30日。
役者7人。スタッフ6人。たまに見学数名。朝に集まり、午前中にリハをして、午後からシュート。
思いっきりテッペン越えて、なんと次の日の朝まで撮影となる。27,8時間撮影。
まあ、なんていうんでしょうね・・・よくありますよね?そんなこと。
とはいえ、ホントに申し訳ない。且つ、ホントにありがとう。感謝しています。
3時越えた辺りで役者も声質が代わってきたので、これはもうモノローグの音声を撮るのは無理だ、と判断。撮影の南出君も下ネタを連発するようになってきたし。
朝、6時頃、撮影終了。
寝ちゃうと学校に遅刻しちゃうから、と若い人達はそのまま寝ないで学校へ。
星野君は仕事帰りに来て、最後までいてくれたので、48時間以上も寝ないで付き合ってくれた。
荷物も運んでくれてホントに感謝しています。
急遽、助監督を引き受けてくれた川野さんも最高だった。動きを見ていると、やっぱり僕に助監督は出来ない、と思ってしまう。僕はあれほど気が利かない。いろいろ助けてもらい、感謝しています。
南出君も打ち合わせたことをしっかりこなしてくれた。僕がすっかり忘れていたことも覚えていてくれたので助かりました。「土井さん、さっきからほんとすごいです」の言葉が最高におかしかった。
岡崎君も持てる知識と才能をフルに発揮して作品に色をつけてくれた。これは頼んで良かった。
セッキーも演出や撮影をナイスサポートしてくれた。おかげでカウンタードリーが作れた。
飯田さんも駆けつけてくれた。やっぱり女性スタッフが一人いるだけで違う。
ロケ地を貸してくれたマスターにも感謝します。最後に掃除して、見渡すと、ここはいい空間だなと再び思う。

役者の方々も本当にお疲れ様でした。
一人ひとり述べたいが、その機会は上映が近づくに連れてここに書かれてゆくでしょう。
土井さん以外の人は皆、完全終了です。土井さんもアフレコのみですんでね。

思った以上に長かったこの一ヶ月。気合が入っているからって面白いものが出来るとは限らない映画の世界。努力が報われないことはわかっているのだが、なんだか努力する癖がついているらしい。
イタイねえ。

12月1日、朝11時。
荷物を喫茶店から出して、星野君と握手を交わし、家に向かう。
荷物を整理して、夕方からの仕事に備えるため布団に入る。
すごいイチゴの匂いがする部屋になった。なぜなのかは本編をお楽しみに。
素材を見ずに、スコンと寝てしまった。

それから起きて、しばしボーっとする。
歯磨きして仕事に向かう準備をして、自転車に跨る。
やれやれ、後は野となれだ。
走行中、泉さんのことを考えた。

撮影の数日前、泉さんが亡くなった。
融解座で知り合った方。P-kraftを知る前に出会っているP-kraftの演出家兼プロデューサー。僕が一時融解座から足が遠のいた杉並時代に融解座に来るようになって、僕が再び通いだした時はすでにOVさんの代わりにブースの中で機材をいじっていた人。最初は融解座に新しく入った人かしらと思っていたが、そうではなく、P-kraftという団体にいますと言って。

僕は多少得体の知れない感じで怖いなと思ったが、
上映した泉さんの作品は、すごくセンスのいいコメディで、他と違うぞと思わせるプロっぽさを感じた。
それから融解座で顔を会わせ、ぎんなん会で顔を合わせる度、よく飲む人だなあと。
ぎんなん会の後、オーグロさんと来田さんと泉さんで二次会に行き、盛んに手を握ってくるオーグロさんを巻きながら、泉さんと女性についての話をした時、
泉さんは僕に「お前、若い頃の俺に似てるなぁ」と言った。
雨の日の融解座、一次会を終えて、帰ろうとした時、向こうから泉さんが水浸しの靴をバシャバシャ鳴らしながらやってきて、
泉さん「二次会駅前の店取ったから」と僕は連れて行かれた。
そこで福島さん、圭作さんと初めて飲み、渡辺さんとも話した。卓上の料理を整理していると、
泉さん「そうだなあ、お前この中じゃ一番歳下か」と言った。
CGの相談をすると、金じゃなく、人で頼まないとメチャクチャなものになっちゃう危険がある、とアドバイスをくれた。飲んでそろそろ帰ろうかという時に「すみませんナマ一つ」と言う。
帰りはタクシーでサラッと帰るか、板橋まで歩いて帰っていた。
夏はタンクトップで脇毛を剃っていたりした。登山が好きだった。
僕のことをしょっちゅう「腹黒い」と言っていた。ドキュメントを撮っているから俺にはわかるんだと言っていた。僕の映画の前売り券を二枚買って観に来てくれなかった。

最後に合ったのは、新宿にヨッシーの芝居を見に行った時だった。
会場に行くと隅っこに座っていて、その後ろに僕は座った。
お久しぶりです、と話しかけ、今度「女子女子over8」僕やるんですよ、と言うと、
泉さん「あそう」とあまり関心が無い様子。それから子供の話になって、今度大学に行くから金を貯めておかないといけないんで、今、俺はお前よりも金が無いんだよ、と笑った。
上演後、結構役者がうまい人が揃ってたねと話し、エレベーターで降りて、泉さんは西武新宿線辺りから御苑前まで歩いて帰った。それが僕の最後の泉さんの記憶です。
笑って、手を振って去った。

泉さんと言えば、なにやら難しい話から、ごく簡単で適当な話まで。
理知的で胡散臭く、男っぽく、飄々としてる人。妻がいて子供がいて、仕事と家があって、やりたいことや作りたいものがあって、沢山酒を飲んで、ホントは凄く情熱家で、ニコニコしながら怒っていて。

朝、起きてこなかったようで、詳しい原因はまだわからないらしい。45歳。早過ぎるし、突然過ぎる。

告別式が30日。僕は撮影のため、29日の通夜しか参列できない。
白いワイシャツを買って、喫茶店フライングティーポットに行き、マスターと話をしていると高田さん夫妻がやってきた。高田さん夫妻も今日行くと言う。
高田さん「仲間がいなくなっちゃうのは寂しいよね」
通夜は神道で行われ、あっけなかった。夢を見ているようで、さっぱり実感が無い。食事の会場に並んだ寿司を見て試しに苦手なイクラを食べてみたが、やっぱり苦手だった。
会場には、河野さんも圭作さんもいた。明日香さんはお腹に赤ちゃんがいるようで、むしろおめでたい。
そのうちウズマキさんも不定形君も、るかさんもオーグロさんも来た。

会うことは出来た。枕元にマルボロが置いてあった、その顔は寝ているようで。
泉さんであることはもちろんわかるんだけどもね。

僕にとって泉さんはかっこいい人だった。
それは僕だけじゃなく、みんな思っていたんじゃないかな。
こんな風に生きていけるなら、いいな、と思える人生を歩んでいたように思います。
友達と呼ぶには離れているし、知り合いと呼ぶには近すぎるし、先輩、それより仲間だったのかな。おこがましいけどもさ。仲間がいなくなっちゃうのは寂しいよ、泉さん、自転車に乗っている時、泉さんとのことを考えたら涙が止まらなくなって、声が出そうになったから口押さえながら走ったよ。いろいろと、まだ聞きたいことがたくさんあったんですよ、僕は、泉さんみたいな人がいるんだから、このまま前に進んでも大丈夫かもなってさ。

11月から12月にかけて撮影してました。行けなくてすみませんです。まあしょうがないじゃないですか。趣味に合わない作品にかもしれませんけどね、今度は観に来てください。これから頂いたお茶飲みながら編集しますよ。

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2008年12月02日 21:46に投稿されたエントリーのページです。

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